サウンドハウス PLAYTECH ST250 |
中国や東南アジア圏で生産されるオリジナルを模した価格破壊の製品はカメラなど一部を除いてどんなジャンルでも存在する様になったが、いわゆるRockやPOP系で用いられる電子楽器、エレキ楽器、さらにはドラムも含めてアコースティック楽器のジャンルでは既存のブランドがやはり席巻しており、大手ブランドは第3国で生産した廉価版の製品を用意したり、さらには弦楽器メーカーでは専用の廉価ブランドまで用意して付入るスキマさえない状態が現状となっています。 そんな膠着した状態の中、大手の楽器販売店が独自にさらに廉価の楽器、特に弦楽器を独自に取り扱うようになり、いくら第3国の生産とは言えちょっと信じられないような値段で販売が始まったので、しっかり外れの製品でもそんなに落ち込む金額ではないのでものは試しに購入してみた。 |
何だかんだで現在は2本になってしまいました。サウンドハウスさんで扱っているストラトタイプのギターです。 どちらもボディは3トーンサンバーストです、私は本当は木目がしっかり見えるナチュラルフィニッシュが大好きなのですがラインナップしていないので、とりあえず木目が見えるサンバーストを選んでいます。 このシリーズはとりあえずギターを弾くという事では普通に使用する事ができます。販売店さんのサイトでも商品紹介のビデオがUPされていますが演奏者がある程度技量があるプレイヤーなので余り役にたつビデオとは思えませんね。
同じモデルですが購入時期によって値段が変わっています、まあ平たく言えば値上げされています。右手のローズネックは5年ほど前に購入しましたが確か税別で\6.980だったと思います。信じられない値段です。左手のメイプルネックは2年ほど前にラインナップに追加されたのでさっそく購入しました。値段は少し値上がりしていましたがそれでも\7.580だったと思います。 |
まずはメイプルネック仕様のボディです。材質はホワイトバスウッドという木材だという事で、最近はアッシュの換わりにミッドレンジにも使用されているバスウッドの一種らしいです。木目はアッシュに比べまでも無いのですが、けっこうこの木材の中では良い方だと思っています。変則的な3ピースになっていますが接着が優秀で塗膜表面に2年以上経過していますがラインはまだ出ていません。 キルトメイプルなどのルックスの良い木材の薄板をトップに貼り付けてより高級感を出しているモデルをよく見ますがこのギターについてはその手法は取られていません。このギターはストラトタイプなのでコーナーがラウンドになっているので張り合わせを行うとそこのラインの処理が大変な事になります。トップ材を張っているギターはコーナーがレスポールの様に角型になっているのが一般的です。 塗装も思ったより優秀でたまに専用WAXをさっとかけるだけで上記機種と遜色はありません。また3トーンサンバーストも未熟さは全くありません。 本来のピックアップはもちろんシングルが3個ですが、本家でも最近はラインナップしているSSHにしました。特にこの手の廉価ギターでは音に腰が無い傾向にありリアは特に弱くなるので、高域には目をつむってハムバッキングを選んでいます。ただ、配線が面倒なのでAmazonで出回っている配線済のピックアップガード付きを購入してポン付けしています。ブランドはMusicliliyさんというショップで日本に在庫しているようで翌日には配達されます。音質的にはまあ本家に比べると少しエレキギター的な癖が無いと言うか、フラットな音でちょっと中域がやせた感じですが、逆にフラットな感じが気に入っています。難点はトーンの利きが良くありません、またコイルタップにはなっていないのでリアはシングルの音は出せません、スイッチは5ポジションです。 ピックガードのねじ穴はもちろん本家と同じ位置なのでこのギターの穴とずれています。ただボディの材質は軽くてやわらかいのでタッピングビスをそんなに無理しなくてもそのままねじ込むことが出来ます。私はちゃんとドリルで下穴はあけました。 ピックアップガードはちょっと高級感を出すためにホワイトべっ甲を選びましたが値段は\2.000位で他のバリエーションとほぼ同一金額です。 |
ローズウッド仕様の方ですがこちらのボディもやはりホワイトバスウッドで木目的はこちらの方が良いかもしれませんがラインが弱いのでちょっとイケていません、もう少しくっきりしていると良い感じになると思います。2ピースとちょっと贅沢に木材を使っています。 もう5年以上経過していますが塗膜の引けもなく、接着した所のラインも出ずキレイなグロス面になっています。 AmazonでYibuyと言うショップの配線済のピックガード付きを知り、これば便利でしかも安という事で速攻で購入して取り付けました。さらに驚いたのはどうせ安物だと思っていたのですが、良い方に裏切られてパワーもけっこう有りハムバッキング特有の中域の力強さもあります。しかも割合ノイズも少ないので、好みでは無いのですがハイゲイン的な使い方が一番似合っていると思います。コイルタップ機能はないのですが、なぜかセンターのシングルも高音が弱く頭打ちです、スイッチは5ポジションです。 ブリッジは最近のものと形状は変化がないと思います、ただ本家とは細部がけっこう違いますがコストの関係だと思います。目立つのはベースプレートの厚みですね。私はアームは使わないのでそれも気になりませんがスプリングを5本使う人は交換した方が良いかもしれません。またキャスト部品も本家より雑な感じなので弦間にバラツキが出ています、またピックアップのホールピースと位置ずれも大きめです。 |
このギターで問題になっているのはチューニングが狂いやすいというレビューが多いのですが、私は特にそうは思いませんでした。ただしペグの糸巻軸のウォームギヤとボタン軸のピニオンギヤとのバックラッシュ(ギヤ同志の隙間)にガタがありチューニングしにくいのは確かです。余り考えられないのですが、この関係でひょっとするとアーミングでチューニングが狂うかもしれません。 大体、弦楽器は♭側に狂うのが日常ですが、それを修正するためにボタンを回して弦のテンションを上げていくのですが、回し過ぎて♯気味にしてしまいます。そこでおもむろにボタンを逆に回してテンションを緩くするのですが、このギターでは緩む方向に多少回すだけではギヤのガタのせいか反応しません。そこで♭になるのを覚悟してグイっと緩めて、今度は慎重にテンションを上げていきます。また♯気味になってしまうと再度同じ事を繰り返す事になります。なかなかチューニング出来ずイラっとする時もありました。 そこでまたまたAmzonで良さそうなモノを物色しているとコスト的に優秀な(安い)ピックアップでも好印象のMusicliliyさんの製品にしました。金額は\2.500位だったと思います。ついでにストリングガイドも本家のアメProタイプのパクリに交換しました。結果はさすがMusicliliyさんの製品、普通にチューニングが出来るようになりましたよ。 |
こちらはローズ指板のモデル、気が向いたのでこちらもペグ交換と思ったのですが、おんや~、よくよく見るとシャーラータイプではなくクルーソンタイプのピラミッド型です。強引にシャーラータイプを付けようかと思いましたが糸巻軸の形状が違いスペーサーが有る分ヘッドの穴径が変わってきます。現行はシャーラータイプですが、オールドモデルはクルーソンタイプなのでクルーソンのピラミッド型にしました。やはりMusicliliyさんのが安心かなと思い購入しましたがこちらのタイプの方が値段は高めでした。糸巻き軸のスペーサーがしっかりしたモノで穴径が合わず結局ヘッドにドリルを通しました・・・・・、さらにハウジングのねじ穴ピッチも違いイマイチな仕上がりになってしまいました。 ナットも樹脂製なので牛骨に変えようと思いましたが、このギターのナット厚は薄いので溝を削るのは大変と思い足踏みしています。 |
12フレット辺りのネックです、まずネックですが日本のメーカーが良く採用しているラッカー仕上げ的なクリアのマット仕上げです。木肌なような感じでとても良いと思いますが、使い込むとやはりつやが出てきてグロス的な感じになってきてしまいます。そのせいかフェンダーやギブソンなどのアメリカのメーカーではグロス仕上げが大多数です。 次にフレットですが画像の通りフェンダーやギブソンのレガシーモデルに採用されていたノーマルなフレットです。ノーマルとは書きましたが現在ではトールタイプが主流なのでノーマルなフレットは復刻版などのモデルやこだわりメーカーにしか採用されていません、あえてエントリーモデルに採用する意味が良く判りません。 フレットの末端はちゃんとバリ取りがされているので廉価ギターで問題になるひっかり感が無くて良好です。まあフレット溝のパテ埋めが雑な位ですが演奏上問題は全く有りません。フレット高はこの値段なので揃えてあるとは思いませんが問題はありません。 ネックの反りに関してもベース程問題になることはないと思います。ギターでトラスを回さなければいけない場面に出会ったことは無いです。 |
ローズ指板のモデルですが指板そのものは無塗装なのでフィンガーイーズなどのメンテナンス、スプレーは使用しない方が良いと思われます。マクロ撮影だと木目にゴミ粒が入っていて見た目も良くないですね。 このギターは初期の段階での製造なのでネックサイドの処理がかなりイマイチでフレット端が手に引っ掛かり感触が悪く廉価版ギターのポジティブな面を思い知らされましたが、#600程度のサンドペーパーをかけた程度で問題にならなくなりました。 フレットの頭は少し削られており高さを調整してから出荷されたと思います。ちなみに最近はトータイプのフレットが全盛でチョーキングがしやすいとかコードを少し位フォームが崩れていてもちゃんと鳴るとか色々利点があります。わざわざスキャロッピングと言う指板を削り相対的にフレットを高くするなんてことも流行っていました。削り過ぎると押さえた時のピッチが狂うという欠点も有りました。あとトールタイプは弦のあたる部分が窪んでしてしまった場合でも、何回かはすり合わせで調整が可能です。さらに最近はPLEKと言うマシンでフレット高を高精度に調整が可能です。 ただ、私はすぐにスライドさせる癖があるのでノーマルフレットの方がまあまあお気に入りです。 |
メイプルネック仕様のヘッド裏です、特にシリアルナンバーも刻印されていおらず、個体管理はされていないようです。値段が値段なので管理する意味も余りないのかな。 ペグはMusicliliyさん製です、前記の通り造りもしっかりしていてバックラッシュの問題が無いのでチューニングも普通に出来るようになりました。ねじ穴の位置も合っていて問題なく交換出来ました。 |
ローズ指板仕様のヘッド裏です、こちらも特にシリアルナンバーも刻印されていおらず、ずっと同じ仕様で製造されている感じです。 ペグはやはりMusicliliyさん製でクルーソンタイプのピラミッド型です。このタイプはメーカーによってねじ穴の位置が違うので厄介です。今回もやはり洗礼を受けてしまい仕方なく片方をつまようじで埋めました、画像の通り少しカッチョ悪いです。そしてさらに問題、前記の通りスペーサーの関係で穴をドリルで広げる必要がありました。こんな事ならメイプルネック仕様と同じようにシャーラータイプにすれば良かったと思いました。 |
メイプルネック仕様のボディ裏です、例にもれず表より木目の感じは良いと思います。ちなみにこのメーカーのボディはフライスでかなり大きくザグリ加工されているので、ボディの鳴りはイマイチかも知れませんがピックアップの交換等の改造には都合良く出来ています。
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ローズ指板仕様のボディ裏です、画像では判りにくいですがセンターで接合した2ピースです。ホワイトバスウッドはかなり軽い材木なのでギターの軽量化になっていますが、ぶつけるとフカフカな材質なのですぐにへこんでしまうので取扱いには注意が必要だと思います。 あとアームカバーの穴とブリッジの弦エンドの位置が合っていないので交換が厄介です。カバーを外した方が早い位です。 |
メイプルネック仕様のネック裏です、ワンピースと思いきやトラスホールをあける工数を試算して2ピースにしたと思われます。しかも指板用の板はちゃんと柾目の硬質な材料が選ばれています。現在はさらに値段が上がっていますがこの内容なら今までが安すぎたような気がするので、仕方ないかなと思います。
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ローズ指板仕様のネック裏ですが、見た感じ非常にストレートな木目の材料が使われていて当りのネックだと思います。廉価版のギターなので基本的に雑な扱いを受けると思いますが、中にはこれ以上に良いものもあると思うので少し悲しくなります。
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本家製は何本かありますがこのギターをモデルとして部品交換してみました。交換した部品代を含めても本家の値段で20本は買えてしまいます。 本家でも気に入らない所はあります。代表的な所はアメリカ製なので仕方がないかも知れませんがネックのグロス仕上げです。夏場は手汗でべっちょり、冬場はひんやりで感触はイマイチです。またケースがやたら良いものが付いているのでこれで値段が上がってしまっているのではないかと思ってしまう位です。ちなみに楽器を全く知らない知人にこの画像でどちらが高額か質問をしたら正解となりました。理由は木目が高級そうだからと言う事でした、やっぱそこ大事なんですね。(2021/10/22) |